『H&E』
               
                  2015年09月13日発売
             オフセット(オンデマンド印刷)・表紙フルカラー
                  A5版 20頁   本体価格300円


                    R-18、へクエリ

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「俺さ、本当に――」

 その先の言葉が聞けた時、大きな優しさと愛しさに包まれながらも、酷く切ない気持になった。
 切なさの本当の意味を知った時、彼と――ことで護ることができた。
 それはいつか遠い日までの約束。
 心は傍にあるから……。


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『preH&E』『pre.2【H&E】』と二冊の準備号を経て発行に至りました本編『H&E』です。何故か準備号はほんのりだったのに、今回だけ
R-18仕様。本来絵が多くなるはずだった本ですが、直前に何者かの囁き(おそらく邪神)によって「絵よりエロだ!」と方向転換した本。コンセプトは「かくれんぼ」。かなりラブラブ、そしてちょっと切ない。初めてへクエリ本を発行した会場、都産貿への想いから、超個人的都産貿ファイナル記念本です(笑)。


♪♪♪プレビュー♪♪♪

 お互いにたくさん話したいことがあった。会えなかった間のこと、他愛のない話からそれぞれの国の代表として相談したいこと――何よりもどう過ごしていたか、何か力になれることはないかと訊きたかった。
 けれど言葉もなく、ただ寄り添っている。
 遠くに聴こえるのは夜を知らせる鳥の声。
 間もなく日が暮れるだろう。
 先に言葉をかけたのはエリウッドだった。
「そろそろ、戻った方がいいんじゃないか?」
「仕方ねぇか……」
 やれやれという様子でため息を吐く。
 いい加減戻らないと今よりも厄介な状況になるだろう。きっと忠実な家臣たちからのお小言は免れないヘクトルを少し気の毒に思いながらも、エリウッドは「僕も一緒に謝るから」と励ます。
 その言葉にヘクトルは思わず苦笑いを浮かべた。
「ガキの頃と変わらねぇな」
「何が?」
「俺が怒られることばっかりして、お前が一緒に謝ってくれんの。まんまじゃねぇか」
「そう思うなら少しは怒られないように気をつけたらどうなんだ?」
「今回ばかりは絶対に俺は悪くない。それに城に入ってきた賊も捕まえてやったんだから、チャラだろ?」
「……そんな都合の良いこと聞いてもらえるといいね」
「相変わらず厳しいなぁ。もう少し優しくしてくれてもいいだろ?」
「これでも十分優しくしているつもりだよ」
 本当は会っている間だけでももっとワガママをきいてやりたいし、甘やかしたくもなる。けれどそんな風に彼に対して自分も甘えてしまいたくなるのがわかっているから、その気持ちを抑え込む。
 お互いに溺れてしまえば、また離れるのが辛くなるから。生きて、前を向いてやらなければならないことがある。
 そのためにあの戦いをくぐり抜けてきたのだから。
(でも、一緒に謝ってあげるぐらいはいいと思うけれど……やっぱり甘いのかな、僕は――)
 子どもの頃と変わらない、そんなことができるだけで嬉しい。出会った時から決して抜くことができなかった背や逞しい肩を羨ましいと思いながらも、こうした時に少しでも力になれることがエリウッドには嬉しかった。
 先に立ちあがったヘクトルは、エリウッドに手を差し伸べる。決して女性扱いされている訳ではないが、時折こうして気を使われる。特に情事の後は顕著だった。
そんなに気を使わなくても大丈夫だったが、素直にその手を取った。
しかし立ち上がったその時、下肢に違和感を覚える。
「あ……」
 気を失っている間に一応の後始末をヘクトルはしてくれていたようだが、それだけではどうにもならないこともあり、思わず言葉と表情に出てしまったのである。
「どうし……あ、そっか……悪ィ。あの後お前が――」
「それ以上言わなくていい!!」
「けど俺のせいだろ」
「いいから! 早く戻って……せめて着替えさせてくれ」
 エリウッドは羞恥に頬を染め、今にも消え入りそうな声で必死に訴える。もうどれくらい身体を重ねたか数えきれないほどなのに、今でもそんな風に初々しい反応をするからヘクトルは嫌でも煽られてしまう。ほんの少し〃いつまでも慣れてくれない〃という物足りなさもあるが、そんな姿が愛しくてたまらなかった。
「そうだな。沐浴の準備もすぐにさせた方がいいな。賊を捕まえた時に大立回りして汚れたって言えばすぐに支度してくれるだろうし」
「……嘘吐き」
「じゃあ正直に言うか? 城の外でイケナイことしましたって?」
「馬鹿!」
 そう言って顔を真っ赤にして背中を拳で叩く。だがその手をひょいと取ると、ヘクトルはまるで騎士が主君にするかのようにその甲に唇を落とす。
 意外な行動にあっけに取られていたエリウッドを、そのまま強く抱きしめる。そして耳元でそっと囁いた。
「エリー……」
「な、何!?」
「俺さ、本当に……」
 けれどその先の言葉は続かなかった。ヘクトルが何を言いたかったのか、何を告げようとしたのかわからなかった。その時、遠くから彼らを呼ぶ声が聴こえてエリウッドは慌てて身体を突き放す。
 その時のヘクトルの視線が目を覚ました時に見たような憂いを含んでいたことに酷く切ない気持になった。


※かなり甘いです。甘さの砂でサハラ砂漠が出来るぐらい(当社比)。

                            
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