pre.2『H&E』
               
                  2015年08月14日発売
                    コピーA5版 16頁
                    本体価格100円


          ほんのりとですが、そういう表現があるのでR-15、へクエリ

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※実際の表紙は桜色の色紙に単色印刷されております。


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『H&E』の準備号として発行しました『preH&E』の続編……といいながら単品で読める仕様になっております。。どうしても夏コミに若の本を出したかった意地でもあります(爆)。基本ほんわか、ちょっぴり切なく、書いた本人だけはR15に抑えたと思っているシーンが入った本です。若がちょっぴりワガママで可愛い(断言)

次回H&Eの発行前にお楽しみ頂ければ幸いです。

♪♪♪プレビュー♪♪♪

「ったく、面倒かけやがって」
「腕は鈍っていないようだね」
「お前こそ、平和ボケしていねぇようだな」
 そう言って笑っていられる空気が心地良い。
「さて、じゃあ誰か呼んできてこいつらを牢にぶち込むか」
「ところで僕はどうすればいいんだ? あまり他の人に見つかると困るからこんな場所に連れてきたんだろ?」
「じゃあ少しの間だけこの隣にある……ああ、そこのドアから入れる倉庫に隠れていろよ。そっちは狭いけど窓がねぇからこういう奴らが来ることもねぇし。こいつらを連れて行ったらまたこっちの部屋にいればいい。衛兵の交代時間になったら隙をついて俺の部屋に連れていくからさ。どっちにしてもマシューにはバレたんだから、さっさと行動しないとお前とゆっくりしてられねぇ」
 どうやら早く到着したこと――ヘクトルが手紙を細工したために――で、ヘクトルが彼らの家臣から怒られるのは間違いなさそうだ。しかし本来『騙された』としか言いようのない自分が隠れていなくてはならないのはある意味理不尽である。
「……それじゃ僕が犯罪者みたいじゃないか。どうしてこんなことになったんだか」
「でもこういうのも楽しいだろ? あ、そっちの倉庫は暗いから足元は気をつけろよ」
「まったく、君は――」

 昔と変わらない、いたずらっ子のような笑顔を浮かべる。巻き込まれて呆れるのと同時に、立場が変わっても相変わらずな行動に少しだけ微笑ましい気持ちになる。
 あの頃と同じ気持ち……だけど――。


*********************

 感傷に浸る間もなく、また手を強く引かれて物影に身を隠す。どうやら見回りの兵士がやってきているようだった。
「素直に出て謝った方がいいんじゃないか?」
「せっかくお前といられんのに、お小言のために時間なんか取られたくねぇよ」
 そう言って、どうにか身を隠せる場所をヘクトルは思案していた。彼の部屋に向かえばお説教の構えの家臣がいるはず、城の外に出れば今は会議の準備で街中にも衛兵たちがたくさんいる……そうなるとこうやって人目を避けて城の中を徘徊していた方がまだいいのだと言うのだ。
「この年になって、こんなことをするとは思わなかったよ」
「いいじゃねぇか。かくれんぼは得意だろ?」 
「うん……最初の時だけじゃなくて、君に付き合わされて何度も、ね」
 そう、出会ったその時だけじゃなくて、ヘクトルは退屈なことが嫌いで、大人たちの目を盗んで僕を連れてかくれんぼをしたのは一度や二度じゃない。
 見つかった後は必ず怒られるのに、それでも繰り返していた。
「じゃあ今もだ」
 そう言って笑う彼は、本当にあの時のままだった――。



※このシリーズのサブタイトルは『かくれんぼ』です。

                            
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