R&W
               
                  2014年05月03日発売
                オフセット・表紙フルカラー+巻頭2Pフルカラー
                       B5版96頁
                    本体価格800円


                  レーティング・砂糖で砂丘が作れる激甘へクエリ『Rapier』
                                  &
                      
へクエリとヘクトルの中身が入れ替わった狂戦士×エリ『WOLF BEIL』
                              間違いなく
R-18

                通販申し込みはコチラから (予約受付中)

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超個人的烈火発売十周(+α)年、記念再録本です。
完売本の中でも密かに(奇跡的に?)再販希望のあった『Rapier』『WOLF BEIL』を一冊にしてお届けします。
元はA5サイズの本でしたが、ページ数圧縮のためにB5に、表紙描き下ろし&本文カラー2枚付きです。
どちらもエンディング後のお話。というか、マルチエンディングのようなストーリーです。
戦いを終えてアルマーズの封印をする彼らの前に、とある災難が降りかかるのですが……。

【Rapier】
ヘクトルと出会った頃からの十年の記憶を喪い、子ども返りしたエリウッド。ヘクトルはエリウッドの記憶を取り戻そうと決意する。だが何もかも忘れてヘクトルの傍にいることを望んでいるエリウッドに対して、諦めていた、願ってはいけないと思っていた未来を求め始める。
激甘注意ですが、ちょっぴり切なさも。あとある意味犯罪(若が)。

【WOLF BEIL】
アルマーズ封印の後、ヘクトルの身体に異変が起きた。太陽と月の支配が入れ替わる時間、ヘクトルの精神がアルマーズの魂と同化した狂戦士テュルバンへと変貌する。テュルバンからヘクトルの心と身体を取り戻そうと戦うエリウッドは、狂戦士の欲の贄にされてしまう。基本へクエリですが、他カプ絡みやハードな内容もあるのでご注意下さい。切ないけれど、ほんのり幸せな話。

【重要:既刊をお持ちの方へ】
『Rapier』もしくは『WOLF BEIL』をお持ちの方は、スペース、通販にてお買い求めの場合は自己申告+本の表紙の写メを頂けましたら本誌を100円(通販の場合は別途送料をご負担下さい)にて販売させて頂きます。表紙の新装+カラー口絵増量+読みやすく再編集はしましたので、在庫減らし&カンパの気持ちでお求め頂けると嬉しいです(笑)。

【書き下ろしストーリーについて】
当初の予定では書き下ろしストーリーが入る予定でしたが、ページ的にこれ以上は難しいので、こちらのサイトにてアップします。 
(5/21日追記&アップ開始)
※それぞれのお話をお読みになった後にお楽しみ下さい。
※前回のオマケ本の一部データを発掘できたので、そちらもアップします。
※一部購入者様限定ページになります、予めご了承下さい。また限定ページにはタイトルの後ろに(※)が入ります。


【Rapier】おまけ
★イラスト(準備中)
★おまけSS……●好きなだけ、好きなままで(11/20更新・完結、後日関連イラストアップ予定) ●タイトル未定(準備中)

【WOLF BEIL】おまけ
★イラスト(準備中)
★おまけSS……●慰めの花(5/21更新・完結) ●タイトル未定(準備中)

【表紙+αについて】
エンディング後のお話なのでねつ造しまくりのエンディング仕様の衣装……久しぶり描いたような(爆)。裏表紙のカットのフルカラー&サイズアップ版が巻頭カラーになります。裏表紙ではセピア系に色を落としてありますので、実物はお手に取ってご覧頂ければ幸いです。



====プロローグ=====

十年前、ふたりは出会った。
優しく穏やかに育まれた友情……怯えながらも、震える手で受け止めた愛情。
そして、迎えた戦いの日々。
お互いの大切な家族を失って、それでも立ち止まらず闘った日々。
故郷を護るために、大事な人をこれ以上失わないために。

     その為に手に入れた力は――あまりにも強大だった。


「もう一度、封印しよう……。運命は動き始めていても、これは人が本来手にしてはいけない力なんだ」

「戦いは、もう終ったんだ……アルマーズ……」

我は力、力こそ我――戦いを望む。
安息と平和を忌む。封印……拒絶――。

溢れる光、安らぎを望まない力。
その力を押さえようとする、もうひとつの光が溢れる。

   ――そして……――


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【Rapie】 プレビュー


「なあ、本当に俺にコト覚えていないのか?」
「……ごめんなさい」
「いや、いい。無理はするな。その、なんだ――俺もちょっと途惑っているんだ」
 無理に問い詰めるのは酷なことだろう。焦ってはいけない……一番不安なのはエリウッドなのだから。
「ともかくココでゆっくりと静養すればいい。必要なモノは何でも用意してやるから遠慮なく言ってくれ」
 子どもに対するように、ヘクトルは優しく頭を撫でてやる。誰も知る者のいない城で不安なのだから、不自由なくしてやりたい。
 ヘクトルは本でも読みたいか?とか何か食べたいモノは?と色々聞いてくる。気分が良ければ外に散歩でも行こうとも誘ってくれた。
 エリウッドは一生懸命自分を元気付けようとするヘクトルに、そっと問い掛ける。
「ヘクトル様……どうして貴方は僕に親切にしてくれるのですか?」
 どうして――理由など、記憶さえあれば問われることない言葉。ヘクトルは切ない気持ちを堪えながら応える。
「俺はお前の友だちだからさ。そう教えてもらっていないのか?」
「いいえ、マーカスたちがそうだと教えてくれたけれど…ちょっと信じられなくて」
 不思議そうにヘクトルを見上げるエリウッド。
もしかして記憶が僅かでも残っているのだろうか?
友だちではなく、それ以上の「想い」を交わした記憶が。
少しだけ期待を込めてヘクトルは聞き返した。
「どうしてだ?」
「僕は身体が弱くて外に出られなかったから――ずっと友だちがいなくて。でも、ヘクトル様は僕の友だちだったんですね。それなのに……ごめんなさい、覚えていなくて」
――そういうことか……――
 見た目は変わらなくても、中身はヘクトルと出会う前の七歳の子どもなのだ。
 覚えていない事に残念な気持ちはあるが、それ以上に不安そうにしているエリウッドを安心させてやりたいと思う。
「お前のせいじゃない。何があっても俺はお前の友だちだからそんな不安そうな顔するなよ。それと、友だちならひとつ約束してくれ」
「何ですか?」
「俺のことを〃様〃を付けて呼ばないこと。友だちならエリウッドも呼び捨てで俺のコトを呼んでくれ」
 どうもそれが一番ヘクトルにとってはしっくりこない違和感だった。マーカスたちが〃ヘクトル様〃と言っていたのをそのまま口にしているだけなのだが。
「でも……」
「どうした? できるだろ?」
 途惑って悩んでいるエリウッド。そんな難しいことではないはずなのに。
「……ごめんなさい。僕もよく分からないけど――そう呼んじゃいけない気がして……ごめんなさい」
 頭を下げて謝るエリウッド。悪い事をして怒られている子どものように。
「こんな僕じゃ、友だちでいてくれませんか?」
「あ、わかった、イヤ、俺が悪かった。まぁ、徐々にでいいからな? その内でいいから――いつか必ず呼び捨てで俺のこと呼んでくれ」
 ともかく今のエリウッドをありのままに受け入れなければならない。焦って元のエリウッドの言動を強要しては、エリウッドのことを任せてくれと言ったのにこれでは何にもならないだろう。
「はい、約束します。ごめんなさいヘクトル様」
 エリウッドに「今」を求めるのではなく、逆に自分が十年前の気持ちに戻って受け入れればいいのだ。
昔のように――。
彼を少女のように〃エリー〃と呼んでいた時の頃のように。
「うん――じゃあさ、俺がエリウッドを〃エリー〃って呼んでもいいか?」
「はい。僕の大好きな人たちはそう呼んでくれるから……ヘクトル様もエリーって呼んで下さい」
 嬉しそうに微笑むエリウッド。その笑顔は変わらない。
 例え、彼の記憶の中に自分は居なくても。
「そうか――」
 ヘクトルはやっと笑顔を見せてくれたエリウッドに、少しだけ寂しさと、それ以上の嬉しさを感じていた。

※既刊のコチラのページでもプレビューが読めます→『Rapier



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【WOLF BEIL】 プレビュー


 まだ夜も明けない時間に、エリウッドはふと、目を覚ました。
 すると隣に居るはずのヘクトルが居ない。
 言いようのない不安を感じ、エリウッドは寝巻きの上にマントを纏い、城の中を捜す。廊下に出て真っ先に目に入ったのは、不自然に開いた扉。展望台へと続く階段がある踊り場の扉が開いていた。
 エリウッドは確信めいたものを感じながら階段を上った。
 冷たい石壁に、階段を上がる靴音が響く。
 薄暗い階段の先からは、月光が差し込んでいる。階段を上りきり、その光の中へ足を踏み入れると、身体は冷たい夜風に包まれた。
 煌々と冴え渡る月光の中に、彼の姿は在った。空を仰ぎ、佇むヘクトルは、まるでこの世の者とは思えない〃何か〃を感じさせる。
「……ヘクトル?」
 エリウッドはそっと名前を呼んだ。
 その声に、ヘクトルはゆっくりと振り返る。そしてエリウッドの姿を確かめると、低く、夜風よりも身体の芯に響くような声で呟いた。
「お前はローラン……か?」
 その声も、顔も、その姿もヘクトルなのに、「言葉」だけが彼ではない。
「何……何を言っているんだ!? どうしたんだ、ヘクトル!?」
 彼の言葉の意味がわからない。
 ヘクトルの傍に近付きたいのに、何かがそれを躊躇わせる。
 だからもう一度彼の名前を呼ぼうと口を開きかけた。だがその時、先に言葉を紡いだのは彼の方だった。
「誰の名を呼んでいる?」
「え……?」

「……我の名は……テュルバン……」



 足が竦んで動かない。けれど、頭だけは冷えて冴えていくのがわかる。
「違う……違うんだ!!」
 自分に言い聞かせるように言い募る。だがそれは何も助けにならないのは解っていた。目の前にいるのは〃ヘクトルの姿をした男〃であって、彼ではない。
「何が違うというのだ、ローラン?」
「僕は、ローランじゃない……君も、テュルバンじゃないんだ……」
 その気配だけで気が遠くなりそうだ。だけど引くわけにはいかない。エリウッドは必死に言葉を紡ぐ。
気の弱いものなら、発せられる殺気だけで気が狂うかもしれない。それなのに目の前の『ローラン』の気配を持つ青年は、真っ直ぐに自分を見つめ返してくる。
「お前の名前はなんと言う?」
 姿かたちはローランと違う。けれどその魂はあまりにも似すぎている。
「僕は、エリウッド。君が、いつも……いつも、傍で護ってくれた―――」
 エリウッドは呼びかけた。
 いくらテュルバンの魂が現れているとは言え、目の前にいるのは確かにヘクトルなのだ。だから彼の魂に呼びかけるように言い募る。
しかしその気配が変わることはなく、目の前にいるヘクトルの顔をした男は酷薄な笑みを浮かべた。
「誰に話しかけている? 我はテュルバンだ」
「……」
「まあいい。我は闘いの場さえ与えてくれるのならば何と呼ぼうが構わぬ」
 血と鋼。
 テュルバンの求めるモノに、エリウッドは背筋に冷たいモノが落ちるのを感じた。
「もう、闘わなくていいんだ……戦いは終った……」
「では何故、我はここにいる?」
「それは……」
 ヘクトルがアルマーズを手にした時のことはわからない。自分がデュランダルを手にした時には、確かにローランの魂と対峙した。
テュルバンは何故ここにいるのか、自分でわかっていないのは何故か。アルマーズとテュルバンとの繋がりは、デュランダルとローランとの繋がりとは別モノなのだろうか。ただ解るのは、こうなってしまった原因。エリウッドはアルマーズを封印した時のいきさつを彼に説明した。
テュルバンは静かにエリウッドの言葉を聞き終えると、狂気の入り混じる声で高々と笑った。
「それは都合がいい!! 肉体を得たのならば我の望みも叶う訳だ!!」
 まるでアルマーズに縛られていたのかのような言葉。そして、肉体を得たことで戦いにその身を置ける歓喜に震えている。
 だがその身体はヘクトルのモノなのだ。
「……させない」
 竦んでいた足が動いた。
 ゆっくりと、それでも確実にエリウッドは彼に近付いた。
「僕が君を止めてみせる! 返してくれ!! その身体はヘクトルのモノだ!!」
 普段はたおやかな青年が、驚くほど強い声で詰め寄る。
ただ近付くだけでも、溢れるほどの殺気に全身が悲鳴を上げた。
 けれどそれ以上に心が痛い。
……ヘクトル……
何故こんなことになってしまったのか。……嘆くことなど出来ない、取り戻さねばならないのだから。
 エリウッドのその姿に、テュルバンは感嘆の目を向ける。
「我を前にしてその言葉が言えるとは……。いいだろう、今宵はお前に免じて引こう。だが、我を本気で止められると思うのか?」
「止めてみせる」
 迷いは無かった。殺気だけで人を殺せそうな存在に対し、エリウッドは一歩も引かなかった。ヘクトルを取り戻すために。
―――ローラン……―――
 やはり魂だけでなく、心もよく似ていると思う。
 テュルバンは月が傾きかけるのを認めると、静かにエリウッドを見つめた。
「ならば明日、また同じ時に会おう……」
 
 そうテュルバンが言葉を告げると、不意に彼の身体から殺気が消える。
 ゆっくりと瞼が落ちると、その身体が床に崩れ落ちた。


※既刊のコチラのページでもプレビューが読めます→『WOLF BEIL

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※どちらも切ないけれど最後はほんのり温かい気持ちになる物語……のはず(汗)。

                            
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