砂漠のみる夢
               
                  2010年12月29日発売
          オフセット(オンデマンド印刷・表紙フルカラー)・A5版28P
                    本体価格400円


              R18……エルレーン×マリクです、ご注意下さい

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『新・紋章の謎』の序章より少し前の時間のお話です。暗黒竜戦争後にカダインに戻ってきたマリクと、カダインで先生から『トロン』を貰った頃のお話をねつ造(爆)。
ほんの少し『砂漠の風』の続きっぽい展開ですが、お読みになってない方でも問題ないかと思います……たぶん。マリク大好きな管理人ですが、可哀相なエルレーンを書いているのがたまらなく楽しかったのはここだけの話(笑)。
エルレーンのコンプレックス全開なツンデレっぷり(?)と何故かエルレーンにだけは超空気が読めない発言連発なマリクのお話。ウェンデル先生曰く「ケンカはやめて、ふたりを止めて(以下略)」のようなお話。あとマリクは暗黒竜時代に”何か”があったような展開です。
シリアス多め、可哀相なエルレーンが好きな方(汗)は是非どうぞ♪


☆以下、プレビューになります。
この辺りは軽いノリなんですが、全体的にはもう少しシリアスな話です。



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世界に平和が戻ったと、誰もが思っていた。
メディウスを倒し、世界に平和をもたらしたアリティアの王子マルスはアンリの再来と謳われ称えられた。人々に笑顔が戻る中、戦乱で数が激減したカダインの魔道士や見習いたちも、ぽつりぽつりと学院に戻ってくる者たちが増えてきた。
ただ優秀な魔道士は戦場で先陣に立ち、多くの命が失われてしまった。そのような中でウェンデル司祭とその弟子エルレーンが無事であったことは、カダイン再興の希望であった。
そしてもうひとり――。
「エルレーン!」
「……」
「エルレーンってば、エルレーン!!」
 若草色の髪の魔道士、マリクは兄弟子であるエルレーンに声をかけていた。
この日、カダインに着いたばかりのマリクは、さっそく魔道学院に向かった。懐かしい学院の門をくぐり抜けると、その先には見知った顔――エルレーンの姿があった。彼の姿を見つけたマリクは大きく手を振り、名前を呼んだ。
けれどその姿を見たエルレーンは眉を顰めると、無言で踵を返して立ち去ろうとする。マリクは慌てて追いかけ、何度も呼びかけていたのだ。
その距離は手を伸ばせば届く範囲である。
どう考えても聴こえない距離なはずがないのに、マリクは馬鹿正直に何度も声をかけて振り向かせようと努力する。
それに根気負けしたのと、周りの目が気になったので、エルレーンは思い切り不機嫌な顔で振り向いた。
「うるさい、怒鳴るな!! 聴こえない訳ないだろう!」
「あ……返事がないからそうなのかと――」
「普通この距離でそんなことを思うか?」
「うん、僕はよく精霊としゃべっていると聴こえないことがあるから」
 当たり前のように返答するマリクに、エルレーンは眩暈さえおぼえた。そう、この人の良さそうな青年は魔道士の中でも特に資質の高い〃精霊持ち〃だ。幼い頃にその才を見いだされてアリティアの名家の生まれだったのにはるばるカダインの魔法学院の教えを受けることになったのである。
 だからとはいえ、道端で呑気に精霊としゃべっていたとマリクは本気で思っているのだろうか。いや、本気で思っているから始末におえない。
カダインは過酷な自然状況のため、他の場所とは違って生命力の希薄な地。ゆえに精霊の存在を強く感じられるのだ。そのためマリクは精霊とおしゃべり(本来はそんな行為は高位の魔道士でさえできない。マリクはただ一方的に精霊に〃語り〃かけ、精霊の欠片である光の動きや輝き方を独自に解釈しているだけだった)に夢中になって、貯水池に落ちたり、流砂の中に埋まりかけたり、どうやったのかかなり高い塔の屋根に昇って降りられなくなったりしていた。その度に師ウェンデルと共に救出したことが何回あったことか。
ともあれ、今も昔も思い起こすとエルレーンは頭痛がする思いだった。
「俺がバカだった。お前なんかにまともに問いただした俺がバカだった」
「何を落ち込んでいるんだ?」
「落ち込んでいるんじゃない! お前なんかに声をかけられて俺は非常に不愉快だ!」
 ようやくそこまで言って、マリクが少し困った顔をする。
「……つまり、エルレーンは僕が声をかけていたのを……その、意図的に無視していたってことなのか?」
「もう無駄なぐらいお前としゃべっているけれどな」
「そうなのか……ごめん」
 理不尽な文句を言われているのに、しょんぼりとした様子であやまるのはどこかネジが抜けているとしか思えない。
「何でお前があやまるんだ」
「だってエルレーンは嫌な思いをしたんだろ?」
「……わかっているならもう声をかけるな」
 いつもイライラさせられ、腹が立つのにしゃべっているとこっちが悪いことをしているように思える。さらにエルレーンはマリクがカダインを出奔する時にした嫌がらせを思い出し、あんなことがあったのに平気で声をかけてくるマリクの精神構造が理解できなかった。



傍から見ると仲良しにしかみえないじゃれあいをしてほしい(爆)。



おまけSS【砂漠のみる夢 月夜の幻】(2011年5月13日完結。暗黒竜以前の過去話ねつ造(爆)。途中から購入者様限定ページになりますので、ご了承下さい)

                            
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