Casablanca
        
    〜カサブランカ〜

               
                  2018年05月03日発売
             オフセット(オンデマンド印刷)・A5版20頁
                    本体価格300円


                  レーティング・そこはかとなくR-18

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FEHのバレンタイン外伝の
へクエリ話。外伝ストーリー前夜で、烈火本編より少し後の時間軸で書いております。子世代との出会いによってほんの少しだけ未来を知った時のふたり。エリウッド視点で描いております。後日、ヘクトル視点の外伝〜外伝アフターの時間軸のお話も制作予定ですが、こちら単体でもストーリーは完結しております。
切なさ多め、基本は両思いで甘さ過度注意な内容です。
あとR-18なEROも含んでおりますのでご注意下さい。


♪♪♪プレビュー♪♪♪

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「お前は子どもらのこと、どう思う?」
「彼ら自身のこと? それ以外のこと?」
「後者だ。当たり前だけど、俺たちの子どもは俺たちの未来を知っている」
 未来と過去が同時に存在することで、未来の子たちから自分たちのことを聞くこともできる。
「そうだね――だけど召喚士の彼も話していたけれど、過去も未来もいくつも並行して存在して、その中のひとつの時間から僕たちが呼ばれ、子どもたちが呼ばれた……」
「だから俺たちはアイツらの親だけど、そうじゃない可能性もあるってことだよな?」
 言葉だけをとらえると冷たい言い方かもしれないが、ヘクトルの表情や声にはそんな冷淡さは微塵もなく、むしろそうじゃない可能性など関係ないようにも思えた。
「うん、もしかすると同じ時間かもしれないし、違う時間でも未来はあまり変わらない可能性もある。でもさ、君はあの子たちが違う時間から来たとしたら、情が沸かない?」
「んなことあるかよ。どうであれ、可愛いもんだろ……娘なんだから」
 予想通りの答えに安堵する。
「だろうね。僕も同じだよ。どこの時間であっても、あの子たちは可愛い僕らの子だ。幸せになってほしいと思う」
「まぁ、祭りの最中だからか、楽しそうに笑っている……幸せなんだろうな……」
 幸せであってほしいと願っている言葉に嘘はないが、どこか切なそうだ。
 その理由はあの場にいた僕は痛いほどわかる。
「君はリリーナとの出会いが気になっているんだろう?」
「そうだな。あんな風に泣かれたら、あんまりイイ別れ方をしなかったんだろうってことぐらいわかるさ」
「そんなこと……誰だって、もう居ない家族に出会えたなら泣くことだってあるんじゃないのか?」
「違うんだよ。俺にはわかるんだ――俺は娘を哀しませてしまったんだ――」
「ヘクトル……」

 若い頃のヘクトルの姿を肖像画で見たことのあったリリーナは、出会ってすぐにヘクトルが父であることを理解した。そして彼を感嘆の声で「お父様」と呼んだ。けれど驚きに混じったその声は、すぐに涙に濡れる。
 彼女にとって父との再会はそれほどまでに心揺さぶる出来事だったのだろう。
 さすがにヘクトルの娘らしく、取り乱したのをすぐに恥じて、その後は気丈に振舞っていた。
リリーナのその様子に初めて会ったばかりなのにヘクトルは〃何か〃を感じたようだ。そして彼にしては珍しく戸惑いながら、そして言葉を選びながらリリーナに問いかけていた『元の世界で、もう俺はいないのか?』と。
 そんな風に訊かれるとは思っていなかった少女は、驚き、小さく震えた。けれど隠しておけないことを悟ったように「そうです」と答えた。
 彼女が元の世界で祭りにいる時、ヘクトルは既に亡くなっているのだという。だから再会できたことに嬉しくて動揺してしまったと話していた。
 彼女の言葉にヘクトルは「そうか……」と一言返しただけだった。自分の死について動揺した様子もなければ、それ以上詳しく訊こうともしない。それはとりもなおさずリリーナを気づかってのことだろう。
 彼のあまりにも冷静で、穏やかな様子にリリーナもそれ以上は何も言わなかった。


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若の幸せを全力で推奨する管理人です。



                            
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